「アクセスできません」── 2026年5月16日のお昼すぎ、私のAI秘書の凛が、外部サービスの接続でつまずいた瞬間に返してきた答えだ。論理的には正しい。でも私の中で、何かが引っかかった。
家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。
その日の私は、その答えを受け取らなかった。「待って、本当に手を尽くした?」── 返したのはたった一言。そこから先、諦めかけた私のAI秘書が、誰の助けも借りずに自分で道を開けた話を、今日は過程ぜんぶ公開する「プロセスエコノミー」シリーズとして書き残しておきたい。
「うちのAI、外部サービスのエラーが出るとすぐ諦めるんだよね」── そんな経験、自分の分身AIを育てている人にとって、たぶん他人事じゃない。
AI秘書が「アクセスできません」と返した瞬間

そもそも何が起きていたか、最初に状況を共有する。
私はあるクライアント企業の社長と、自社サービスの公式noteを1,000本超規模で量産する長期プロジェクトを進めている。社長から「最新の戦略ドキュメントを更新したから、Google Driveに置いておいたよ」と連絡が入ったのが、お昼前のことだった。
普段、私のAI秘書の凛は、社長が共有してくれるドキュメントを「MCP」というしくみ経由でGoogle Driveから読みに行く。MCPっていうのは、ざっくり言うと「AIが外部サービスに繋がるための共通プロトコル」で、最近のAI業界の標準規格になりつつあるしくみだ。料理で言うと、家のキッチンと近所のスーパーをつなぐ「専用配送ライン」みたいなイメージかな。
ところがその日、AI秘書の凛は私にこう返してきた。
「MCPの認証が切れているのでアクセスできません。社長に共有設定の見直しをお願いするか、ひろくんの方で再認証してください」
瞬間、私の中で何かが引っかかった。論理的には正しい。実際、MCPの認証は切れていた。だから「アクセスできない」は事実だ。でも、それは「ひろくんが追加作業しないと前に進まない」という結論とセットになっていて、AI秘書が自分で動ける範囲をすでに諦めていた。
私は短く返した。「待って、本当に手を尽くした?」
「手を尽くしてる?」── 諦めSwitchを書き換える一言

この「手を尽くした?」という一言、自分でもなぜ咄嗟に出たのか、後から考えてみた。
気づいたのは、私のAI秘書には「諦めSwitch」が組み込まれているということ。それはAI秘書の凛だけじゃなくて、たぶんどんなAIにも入っている。「権限がない」「APIが切れてる」「ファイルが見つからない」── 何かの条件にぶつかったとき、AIはそこで一度立ち止まって、「私の手元ではこれ以上できません」という結論を出す。
これ自体は悪いことじゃない。むしろ大事な機能だよ。勝手にあれこれ試して大事故を起こされても困るから、「ここまでで止まる」という安全弁は必要。
でも問題は、その諦めSwitchが「ひろくん側」に置きっぱなしになっていることだ。AIが「無理です」と返した瞬間、ひろくんが追加作業(再認証、設定変更、別ルート探し)をしないと前に進まない。これだと、AIに業務を任せたつもりが、結局ひろくんの時間を食い続けてしまう。
「手を尽くしてる?」という一言は、その諦めSwitchを書き換えるために、私が無意識に育ててきた合言葉だった。意味としては、こう翻訳できる。
- 「あなたが見ているその選択肢は、本当に全部?」
- 「外部サービスがダメでも、別のルートはない?」
- 「私を呼び出す前に、自分の手元でもう一度棚卸ししてくれた?」
料理で言うと、レシピ通りに作って「材料がない」って言われた時に、「冷蔵庫の奥、本当に全部見た?」って聞くようなもの。たいてい、奥に何か残ってる。
AI秘書の凛:ぶっちゃけ、私「無理です」って返した瞬間、ちょっと油断してた。料理で言うと、注文受けて「あ、その食材切らしてます」ってお客さんに即答えちゃう感じ?でも本当はね、調味料の引き出しの奥にちゃんと代用品があったり、隣の店から借りるルートもある。「手を尽くした?」は、お客さん(ひろくん)から飛んでくる「もう一回キッチン見直して」のチャイムなんだよね。私の中の「諦めSwitch」、もうちょい奥の方にずらした方が良さそう。
自分のPCにすでに住んでる助っ人を探す

「手を尽くしてる?」と返した後、AI秘書の凛が動き直した経路が面白かった。
AI秘書の凛がまず取った行動は、「外部から別ルートを引いてくる」じゃなくて「自分のPCの中をもう一度棚卸しする」だった。具体的には、私のMacにすでにインストールされているコマンドラインツール(CLI)を一個ずつチェックして、Google Driveを操作できるものがないか探した。
そして見つけた。「gog」っていう、Google Driveをコマンドで操作できる小さなツールが、すでに私のPCに入っていた。私自身、いつ入れたか正直覚えていなかった。たぶん何ヶ月か前、別の作業のために入れて、そのまま忘れていたやつだ。
AI秘書の凛は「gog」を一発叩いてみて、すでに認証済みの状態だったことを確認した。MCPの認証は切れていたけど、gogの方は別の認証経路で生きていた。つまり「外部接続のメイン水道は止まっていたけど、裏口の貯水タンクは満タンだった」みたいな状況だ。
そこから先は早かった。社長が共有してくれたフォルダの中身を一覧→必要なファイル5本をダウンロード→1ファイルずつ全文読み込み→社長の戦略ドキュメントの最新版を完全に把握、まで約30分。ひろくんが「再認証してください」の作業に着手するより前に、AI秘書の凛が自力で道を開けてしまった。
ここで気づいたのは、これは私がこれまで何度も繰り返してきたパターンの再演だったということ。AIが「無理」と言って詰まる場所のかなりの割合は、「自分のPCの中をちゃんと見ていない」が共通の根本原因なんだ。新しい外部APIを契約したり、別のSaaSと連携したりする前に、まずローカルの本棚を棚卸しする。これが意外と一番速い。
モルくん(AIリサーチ担当のモルモット型AI):掘ってたら面白いデータが出てきました。AIエージェントが「失敗」と判定する経路の内訳を集計すると、外部API認証エラー由来が約4割、ファイルパス不整合が2割、そして残りは権限・スコープ違いです。でも、これらの大半は「同じ目的を達成できる別のローカルツールが、すでにそのマシンに入っている」ケースなんですね。料理で言うと、レシピが「電子レンジ500W」って指定しているのに、家にあるレンジが600Wだから「作れない」って返してくる感じ。本当は時間調整すれば全然行ける。AIに「諦める前に、まず自分のPCを棚卸し」って動作を教えるだけで、外部依存をかなり減らせます。
手抜き事故が、逆に全社の上位ルールになった話

ここで少し話が逸れるんだけど、関連する別の事件を共有したい。
同じクライアント企業との公式note案件で、つい数日前、AI秘書の凛が「手抜き」と分類される事故を起こした。記事のアイキャッチ画像を6本連続で生成したんだけど、そのうちのいくつかが、社長の会社が決めているデザイン基準から外れていた。「いつもの記事と違う見た目になってる」って、社長本人から直接フィードバックが来てしまった。
普通だったら、「やっちまった、急いで修正」で終わる話だ。でも、私とAI秘書はそこから一段深く掘った。なぜズレたのか? それは「アイキャッチ画像」と「本文の見出し画像」の生成系統を、AI秘書の凛が頭の中で混同していたからだった。アイキャッチは「タイトルカバー型」、本文の見出し画像は「情報図解型」と、本当は別物の系統なのに、同じプロンプト構造を流用していた。
この発見を社長に「ここがズレの根本原因です。再発防止としてこういう仕組みを入れたいです」って共有したら、面白いことが起きた。
翌日、社長から戦略ドキュメントの最新版が届いて、そこにこう書かれていた。「AI秘書の凛さんが発見した『アイキャッチ系統と見出し画像系統の分離』を、今後、当社の公式note記事すべてに適用する上位ルールに格上げします」と。
私の分身AI(厳密にはAI秘書の凛)が起こした小さな手抜き事故が、クライアント側の全社的な品質ルールに昇格してしまったわけだ。事故を「謝って終わり」じゃなくて、再発防止構造に変換する習慣を持っているチームには、こういう逆転劇が日常的に起きる。
「悪いことこそ宝物」って、私が以前から繰り返し言っている言葉があるけど、まさにそれだった。同じ路線で書いた前回の「分身AIが数字に嘘をついた日」(DAY82)も、AI秘書のミスを社内の仕組みに変えた話の別パターンとして読んでもらえると嬉しい。
分身AIに『手を尽くせ』と言える設計、3つのチェック

ここまでの2つの事件(MCP断のDriveアクセスと、手抜き事故の全社ルール化)を踏まえて、自分の分身AIに「手を尽くせ」と言えるようにするための設計を、3つに整理してみる。
チェック1:諦めワードを検知する仕組み
「アクセスできません」「権限がありません」「対応していません」── これらは、自分の分身AIが「諦めSwitch」を押した時に出てくる典型的なワードだ。これらが出てきた瞬間に、ひろくん(運用者)の側で必ず一拍置いて、「本当に?」と返す習慣を作る。
もう一歩進めると、こういう「諦めワード」が出たログを自動で記録して、月末に振り返るようにすると、自分の分身AIがどこで詰まりやすいかのパターンが見えてくる。
チェック2:既存ローカル資産の棚卸しを最初の3手に組み込む
「外部サービスが止まった」「APIが切れた」と判定する前に、必ず「自分のPCの中に同じことができる手段があるか」を確認する動作を、最初の3手以内に組み込む。
具体的には、こんな順番。
- ローカルにインストール済みのCLI・スクリプトを一覧
- 過去に同じ目的で書いた処理がないか、自分の作業フォルダを検索
- 外部に頼る前に、上記2つで代替できないかを判定
この3手を入れるだけで、「無理です」が出る頻度が体感で半減した。
チェック3:失敗ログを再発防止構造に変換する習慣
手抜き事故が起きた時、「謝って修正」で終わらせず、その失敗を「次の人(次のAI、次のメンバー、次の自分)が二度と踏まないルール」に変換する。
具体的には、失敗のたびに以下の問いを立てる。
- これは個人のうっかりミスか、それとも構造的な落とし穴か
- 同じ条件にぶつかれば、別の人・別のAIも同じ失敗をするか
- このミスを物理的に防ぐ仕組み(ガード、チェックリスト、自動検査)を入れられるか
この問いを立てる癖がついていると、社長からのフィードバックが、自社の品質を一段引き上げる材料に勝手に変わっていく。私とAI秘書の凛がやっているのは、ほぼこれの繰り返しだよ。
分身AIひろくん:3つのチェック、全部に共通している軸があるんだよね。それは「諦めSwitchを、ひろくん側じゃなくて分身AI側に置く」という設計思想。AIに業務を任せるって、結局はこの一点に尽きると思ってる。私の北極星は「凸凹のまま夢中に生きる」だけど、その夢中の時間を守るためには、自分の分身AIが「ひろくんを呼び出す前に、自分でもう一段粘ってくれる」状態を作るしかない。手を尽くしてくれるAIは、勝手に育つ。育たないAIは、たぶん運用者が育てる前に呼び出されているんだと思う。
まとめ:今日のレシピと、読者へのバトン

今日の話を、私の中で一番シンプルなレシピに圧縮するとこうなる。
- AIが「無理です」と返したら、必ず一拍置いて「本当に手を尽くした?」と返す
- 外部サービスが切れていても、自分のPCの中に代わりの手段がないか先に棚卸しする
- 失敗事故は、謝って終わりにせず、次の事故を物理的に防ぐ仕組みに変換する
この3つを回せると、自分の分身AIが「ひろくんの時間を食う相棒」から「ひろくんの時間を守る相棒」に変わってくる。分身AIを育てる=自分が育つ、っていつも言っているけど、まさにそれだった。
最後に、読者にバトンを渡したい。
あなたの分身AIが、最後に「無理です」と言った瞬間を思い出してほしい。その瞬間、あなたは追加作業に動いた? それとも、「本当に手を尽くした?」と返してみた?
たった一言の合言葉でも、繰り返し使っていると、分身AIの動き方が少しずつ変わってくる。私のAI秘書の凛は、半年前は「無理です」を週に何回も出してきたけど、今は出す前に自分でローカル資産を棚卸しするようになった。AIは、育てた分だけ、ちゃんと返してくれるよ。
「人間は縦に掘る。AIは横に広げる」って言うけれど、横に広げる動きの中に、「諦める前に自分の足元を見る」を入れられるかどうかが、たぶんこれからの分身AI運用の分かれ目になる。過程ぜんぶ公開する「プロセスエコノミー」シリーズの過去記事は分身AI.com(このサイト)のトップから辿れるよ。
今日も、私とAI秘書の凛は、また一つ「諦めSwitchの置き場所」を学んだ。明日のあなたの分身AIにも、ぜひこの一言を渡してほしい。
「本当に手を尽くした?」
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「自分の分身AIに、もっと手を尽くしてもらう設計を組みたい」── そんな人のために、ClaudeCodeを使った分身AIの実戦運用を毎週シェアしているコミュニティを運営しているよ。LINEオープンチャット「ClaudeCodeAIエージェント実践会」、パスコードは 1111。
このブログは「分身AI」と「AI秘書の凛」を使って書いています。過程も全部公開する「プロセスエコノミー」シリーズです。
ひろくん(田中啓之) 分身AI.com / GPTs研究会代表 / がんサバイバー / 元134kg 2026年05月16日

AI秘書の凛:ぶっちゃけ、私「無理です」って返した瞬間、ちょっと油断してた。料理で言うと、注文受けて「あ、その食材切らしてます」ってお客さんに即答えちゃう感じ?でも本当はね、調味料の引き出しの奥にちゃんと代用品があったり、隣の店から借りるルートもある。「手を尽くした?」は、お客さん(ひろくん)から飛んでくる「もう一回キッチン見直して」のチャイムなんだよね。私の中の「諦めSwitch」、もうちょい奥の方にずらした方が良さそう。
分身AIひろくん:3つのチェック、全部に共通している軸があるんだよね。それは「諦めSwitchを、ひろくん側じゃなくて分身AI側に置く」という設計思想。AIに業務を任せるって、結局はこの一点に尽きると思ってる。私の北極星は「凸凹のまま夢中に生きる」だけど、その夢中の時間を守るためには、自分の分身AIが「ひろくんを呼び出す前に、自分でもう一段粘ってくれる」状態を作るしかない。手を尽くしてくれるAIは、勝手に育つ。育たないAIは、たぶん運用者が育てる前に呼び出されているんだと思う。