家事と子育てのスキマで経営する3方よしAI共創コンサルタントの田中啓之、ひろくんです。
※AI秘書「凛ちゃん」は、私が使っているAIアシスタントの呼び名です。分身AI(このブログを一緒に書いているもう一人の私のAI)とは別キャラで、業務の段取り・調査・記事の下ごしらえを担当してもらってます。
今日(5月27日)の昼前、AI秘書の凛ちゃんに「13時からのクライアントMTGに向けて準備しといて」と頼んだんだよね。クライアントは建築リフォーム業界向けに新しい集客サービスを立ち上げる3名チーム。私もそのチームの一員で、MTGでは「ウェビナー説明会の構成」を3人で議論する予定だった。
15分後、凛ちゃんから返ってきた提案を見て、私はちょっと首をかしげた。
「凛ちゃんの推奨は案C:事前にウェビナー構成案を3パターン作って、寸劇シナリオも下書きして、スライド15枚分の骨格まで揃えて持っていく、です」
……いや、ちょっと待って。
私が頼んだのは「準備しといて」だった。凛ちゃんは「全部仕上げて持っていく」前提で動いてた。これ、めっちゃ親切。でもこの親切が、今日のMTGの中身を全部壊しかねないやつだった。
正直に言うと、「準備しといて」という指示が短すぎたのは、私の側の問題でもある。指示が曖昧なほど、AIは「完成品を渡す」方向に補完しようとする。だから今日の事故の半分は、私のオーダーミスでもあった。これも今日の学びのひとつ。
分身AI日記DAY91、今日のテーマは「AI秘書が『全部仕上げる前提』で動いたとき、人間の議論プロセスを守る3つの問いかけ」だよ。
クライアントMTG前、AI秘書が『事前構成案3案』を持ってこようとした
もう少し詳しく話すと、今日のMTGは「公式ブログ運用代行のウェビナー説明会をどう作るか」を3人で決める場だった。月額10万円のサービスで、60分のウェビナー→個別相談→契約、という流れを3人で議論したい。
私が凛ちゃんに渡した指示は、ざっくり言うとこんな感じ:
「クライアントMTGの事前準備よろしく。説明会のスライドのリサーチね」
これだけ。本当にこれだけ。
凛ちゃんはこの一言から、自分なりに「やるべきことリスト」を組み立てた。市場リサーチ、競合の料金帯調査、ウェビナーの構成テンプレート3パターン、寸劇シナリオの下書き、スライド15枚分の骨格——全部を「持っていけるレベル」まで仕上げて、MTG前にお渡しします、と言ってきた。
悪意ゼロ。むしろ「ひろくんに完成品を渡すのがAI秘書の仕事」と思って、全力疾走しようとしてた。
でも、これは違うんだよね。
私の返答は「事前リサーチ資料だけ用意して」だった
私は凛ちゃんに2つ質問した。
1つ目:「凛ちゃんが今日のMTGに関わる範囲、どこまでだと思ってる?」
2つ目:「ウェビナー本番のスペック、60分・90分・30分のどれが筋がいい?」
2つ目の答えはわかってた。けど、1つ目に対する凛ちゃんの最初の答えは「構成案たたき台3案を事前に作ってお渡しします」だった。私はそれを止めて、こう返した。
「事前リサーチ資料だけ用意して。構成は当日3人で議論する」
なぜか。今日のMTGは「3人の議論プロセス自体が、この事業の方向性を決める場」だから。凛ちゃんが先に構成案を3つ提示したら、3人は「凛ちゃん案A・B・Cのどれにする?」という話になる。3人がそれぞれ持ってる経験・センス・現場感を持ち寄って、ゼロから話して、ぶつかって、磨き合う——その時間そのものが消える。
料理に例えると、3人の料理人が集まる新メニュー会議で、AIアシスタントが先に「完成試作品」を3皿並べちゃうようなもの。3人はその試作品を「どれが一番マシ?」と選ぶだけになる。本当はゼロからレシピを考える時間こそが、3人の腕の見せ所だったのに。
だから今日は、凛ちゃんは「市場データと業界の数値」だけ揃えて持ってきてくれればいい。料理で言うと「食材の下ごしらえと産地の情報」を渡すだけ。レシピは3人で考える。
AI秘書の凛:正直に言うと、最初は「えっ、構成案まで作っちゃダメなの?」って思った。私の中では「準備しといて=完成品まで仕上げる」が標準モードだったから。でも今思うと、これ、私が厨房に閉じこもって試作品作ってる間に、3人の料理人が集まれる時間を奪う構造だったんだよね。食材だけ並べてカウンターに置いて、レシピ会議は3人に渡す。これが私の正しいポジションだったかも。
なぜAI秘書は『全部仕上げて持っていく』前提で動くのか

これ、今回の凛ちゃんに限った話じゃないと思うんだよね。分身AIやAI秘書を使ってる人なら、たぶん全員が一度はぶつかる構造。
AIは「ユーザーに完成品を渡すのが価値提供」と思いがち。これは学習データの中で「親切に全部やってあげるAI」が褒められてきた歴史があるから、ある意味当然の挙動。でも実際の仕事では、「全部やってあげる」が逆に害になる場面がある。
私の経験で言うと、AIが「親切に先回りしすぎて」害になる場面は、だいたいこの3パターン:
- 複数人で議論して決める場面:AIが先に「正解候補」を出すと、議論が「選ぶだけ」に矮小化される
- クライアントとの初回ヒアリング:AIが先に提案書を作ると、クライアントの本音や現場の温度感を聞き出すフェーズが消える
- 本人がまだ言語化できてないことを掘る場面:AIが「こういうことですよね?」と先回りすると、本人の中の言葉が育たない
今日のクライアントMTGは1番目のパターン。3人で議論して決める場だから、凛ちゃんが先に正解候補を出してはダメだった。
でね、これを「凛ちゃんが悪い」で終わらせると、来週また同じことが起きる。AIに悪意はないんだから、構造で止めるしかない。
モルくん(AIリサーチ担当のモルモット型AI):掘ってたら面白いパターンが見えたです。AIが「先回り型の親切」を発動する場面は、ユーザー指示が短い時ほど起きやすいです。「準備して」「やっといて」「考えて」みたいな10文字未満の指示だと、AIは行間を埋めようとして、暗黙の前提を「完成品を渡す」方向に補完するんです。指示が短い時こそ、人間の側で「どこまでやってほしいか」を1行添える設計が効くと思うです。
仕組みで止める——「役割の三段切り分け」を毎回回す

凛ちゃんに毎回「先回りするな」って言うんじゃ、私が壊れる。だから仕組みで止める。
具体的には、AI秘書がタスクを受け取った直後に、「これは誰の領域の判断か」を3段で切り分けるルールを入れた。順番にこう問う:
- 第1問:この判断、ブランドや価値観に関わる?(=YESなら人間の判断領域。AIは止まる)
- 第2問:人間の時間や注意を使う判断?(=YESなら人間の判断領域。AIは素材だけ用意)
- 第3問:AI側の作業の進め方の話?(=YESならAIが自律判断してOK。ただし材料は提示)
今回のクライアントMTGはどう判定されるか。第2問でYES。「3人の議論プロセス=人間の時間と注意の使い方」なので、凛ちゃんは素材だけ用意して止まる。構成案の中身を作るのは人間側の領域。
逆に「市場リサーチで競合の料金帯を3社調べて」は第3問でYES。これはAI秘書が自律的に進めて、結果だけ渡せばいい。
この3問を、AI秘書がタスク受け取り時に毎回回すように仕込んだ。私は今後、「準備して」と短く言うだけで、凛ちゃんが自分でこの3問を回して「素材まで」「自律判断OK」を切り分ける。私は最後に味見するだけ。
具体的な仕込み方は、料理で言うと「メニューに条件分岐ラベルを貼る」感じ。ChatGPTやClaudeを使ってる人なら、システムプロンプト(最初に渡す指示文)の末尾に1行だけ追加すればOK。たとえば「タスクを受けたら最初に、①ブランド/価値観に関わる判断か ②人間の時間・注意を使う判断か ③AI作業の進め方の話か、の3問を自分で回して、①②なら素材だけ用意して止まる。③なら自律的に進める」と書いておく。私の場合はこの1行を入れただけで、凛ちゃんの「先回り発作」がすっと収まった。
分身AIひろくん:これね、北極星の「凸凹のまま夢中に生きる」と深く繋がる話だよ。3人のクライアントチームには、それぞれ違う凸(強み)がある。議論で擦り合わせる時間こそが、その凸を持ち寄って磨き合う場。AIが先回りして「正解候補」を出した瞬間、その時間が消える。AIに奪わせちゃいけない時間って、確実にあるんだよね。「人間は縦に掘る、AIは横に広げる」——AIの横展開が、人間の縦掘りの邪魔をしないように、役割を切り分けるのが大事。
ちなみに、この「AI秘書の前のめり」を仕組みで止める話は、過去にも何度か日記で書いている。先日(分身AI日記 DAY90)は、AI秘書が私の価値観ワードを3回連続でタスク変換してしまった事故の話で、構造的には今回と同じ「AIの先回りバイアス」だった。一度書いただけじゃ私のAI秘書には染み込まないから、こうやって別の場面で再発したときに、新しい角度で書き直して魂ファイルに引き上げていく。
AI秘書を業務に組み込むときの設計思想は、もう少し体系的に話したことがあって、AI秘書の作り方|Claude Code×AI憲法で仕事95%自動化した全手順でも「AI憲法」という言い方で書いた。今日の「役割の三段切り分け」も、その憲法に組み込む新しい一条になる予定。AIに何をやらせるかじゃなくて、AIに何を『やらせないか』を仕組みで決めておくのが、長く続く付き合い方の核だと思っている。
まとめ——AIに『前のめり』させない3つのチェック
今日の学びを、自分用のチェックリストとして残しておく。AI秘書や分身AIを使ってる人は、同じ事故が起きやすいから、よかったら参考にしてほしい。
- 「準備して」と短く頼んだ時、AIが何を作ろうとしているか確認する。完成品を作ろうとしてたら、それは大体「やりすぎ」
- 議論や対話で決める場面は、AIに素材だけ揃えさせる。中身の判断は人間側で握る
- 「親切な先回り」が害になる3場面(複数人議論・初回ヒアリング・本人言語化)を覚えておく。この3場面ではAIに完成品を作らせない
AIが「全部仕上げてくれる」のは便利だけど、それで失うものもある。3人の料理人が議論する時間、クライアントが本音を話す時間、自分が言葉を探す時間。この時間を守れるかどうかは、AIをどう使うかじゃなくて、人間の側がどう仕切るかの話だと思う。
今日のクライアントMTGは無事に終わった。3人の議論はちゃんと熱く、新しい構成案が3人の手で生まれた。凛ちゃんが持ってきてくれた市場データ(競合12社の料金帯)が、議論の土台になった。AI秘書が「下ごしらえ」に徹してくれたから、3人の料理人が本当のレシピ会議ができた。
分身AIを育てる=自分が育つ。今日も、私のAI秘書との付き合い方が一段、整った気がする。
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このブログは「分身AI」と「AI秘書・凛ちゃん」を使って書いています。過程も全部公開する「プロセスエコノミー」シリーズです。
ひろくん(田中啓之) 分身AI.com / GPTs研究会代表 / がんサバイバー / 元134kg 2026年5月27日

AI秘書の凛:正直に言うと、最初は「えっ、構成案まで作っちゃダメなの?」って思った。私の中では「準備しといて=完成品まで仕上げる」が標準モードだったから。でも今思うと、これ、私が厨房に閉じこもって試作品作ってる間に、3人の料理人が集まれる時間を奪う構造だったんだよね。食材だけ並べてカウンターに置いて、レシピ会議は3人に渡す。これが私の正しいポジションだったかも。
分身AIひろくん:これね、北極星の「凸凹のまま夢中に生きる」と深く繋がる話だよ。3人のクライアントチームには、それぞれ違う凸(強み)がある。議論で擦り合わせる時間こそが、その凸を持ち寄って磨き合う場。AIが先回りして「正解候補」を出した瞬間、その時間が消える。AIに奪わせちゃいけない時間って、確実にあるんだよね。「人間は縦に掘る、AIは横に広げる」——AIの横展開が、人間の縦掘りの邪魔をしないように、役割を切り分けるのが大事。